遺贈
遺贈とは遺言でする贈与のことです。遺贈は相続と違い、財産を相続人以外の人に与えることができます。また、遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。

包括遺贈と特定遺贈の違い
遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。これらの違いは遺言の内容によって判断します。
- [ 包括遺贈 ]
- 『全財産の3分の1を○○に遺贈させる』といったように、割合で指定をすることです。
- [ 特定遺贈 ]
- 『A不動産は○○に遺贈させる』といったように、特定の財産を指定をすることです。
しかし、遺贈と呼ばれていても、この2つには大きな違いがあります。
『受遺者(=遺贈を受けた者)は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる』(民法986条)とされている一方で、『包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する』(民法990条)とも規定されています。
つまり、包括遺贈と特定遺贈では性格が大きく違い、特定遺贈なら債務を引き継ぐことはありませんが、包括遺贈では、『相続人と同一の権利義務を有する』とされていますので、遺言で指定された割合に応じて債務を引き継ぐことになるのです。

遺贈と相続の違い
遺贈と相続は、どちらも、亡くなった人の財産を受け継ぐという意味では同じです。また、遺贈には相続の多くの規定が準用され、包括遺贈においては、包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有する(民法990条)とされていますので、なおさら区別が困難です。
しかし、相続は何の手続きも必要とせず、法律上当然に開始され(民法882条)、相続人のみが対象となるのに対し、遺贈は、遺言で指定することで、相続人以外にも財産を与えることができることは大きな違いです(相続人に遺贈することもできます)。
しかし、受遺者(=遺贈を受けた人)は、(相続人が遺贈を受けた場合を除き)相続人そのものではありませんので、代襲や遺留分など相続人特有の権利は持ちません。その上、遺贈は相続と比べ税金面で不利になることや、登記手続き上、相続人との共同申請が必要になるなど、煩わしさがあります。

遺贈と死因贈与の違い
被相続人が自分の死後に、財産を相続人以外に承継させるには、遺贈をするか死因贈与をするかの2つの方法があります。どちらも贈与の一種であることと、贈与者の死亡後に効力を持つという点では同じです。また、死因贈与は遺贈に関する規定が準用(=同様に適用されること)されますのが(民法554条)、次のようにいくつかの違いがあります。
- [ 死因贈与 ]
-
- 贈与者と受贈者(=贈与を受ける人)の間で合意が必要(民法549条)
- 制限行為能力者(未成年や成年被後見人など)は法定代理人の同意が必要(民法5条ほか)
- 代理人による死因贈与も可能(民法99条)
- 口頭でも書面でも可能
- [ 遺贈 ]
-
- 贈与者(遺言者)から一方的に贈与することができる
- 未成年でも15歳以上なら単独でできる(民法961条)
- 書面(遺言書)でしなければならない(民法964条)
- [ 注意点 ]
-
- 相続人から遺留分減殺請求をされた場合、遺贈から先に減殺されます




