日付の違う遺言書の有効性
60歳の定年退職を目前に控え、誕生日(退職日)を機に遺言書を書こうと思っています。実際には一ヶ月ほど前にすでに書き上げたのですが、日付は60歳の誕生日の日付にしてあります。読み直してみたところ、訂正したい箇所が見つかり、新しい遺言書で訂正したいのですが、これでは新しい遺言書の日付が古い遺言書より古くなってしまいますが、これでも有効なのでしょうか?もし無効ならどう訂正すればいいのでしょうか?

回答
単純な誤字脱字の訂正ではないことを前提にお答えします(誤字脱字レベルなら、法律の定め(民法968条2項)にしたがって訂正すればいいのです)。
原則として、日付が違う遺言が2通あり、古い遺言と新しい遺言とで抵触する部分があれば、その部分は、新しい遺言で古い遺言を撤回したものとみなされます(民法1023条)。しかし、このまま2通目の遺言をつくってしまうと、日付と内容が食い違ってきます。これでは新しい遺言で古い遺言を撤回したとは、日付上判断できません。
そもそも、遺言は要式行為です。要式行為とは、法律で決められた方式にしたがわなければ無効となってしまう法律行為のことをいいます。したがって、実際に作成した日付と異なる遺言は、無効であるといえます。
しかし、その日付を過ぎてしまえば、第三者からは判断できませんから有効となる余地もありますが、2通目の日付との関係から、日付以前に書かれたものだと明らかになり、結局は2通とも無効とされる可能性があります。
古い遺言の日付を訂正するという方法もありますが、訂正前後の間に1通の遺言がはさまれる形になります。この場合、訂正されて不利益になる相続人が不満を持つかもしれません。後日の紛争の要因ともなり得ます。
遺言には『争族対策』としての意味を持ちますので、紛争の原因となる日付の訂正は薦められません。面倒ではありますが、もう一度書き直してみてはいかがでしょうか。




