相続の承認と相続放棄
相続は、被相続人の死亡によって開始し(民法882条)、相続人は被相続人の権利義務すべてを承継します(民法896条)。このことは、不動産や現金などのプラスの財産だけを引き継ぐだけではなく、借金などのマイナスの財産をも引き継ぐことを意味します。
しかし、家族を失って悲嘆にくれている上に、被相続人の借金を背負うことになってしまっては相続人の生活は破綻してしまいます。そこで法律では、相続人に相続をするのかしないのかを選択する権利を与えました。

相続するのか?しないのか?
相続財産がプラスの財産ばかりでしたら問題はありません。しかし遺産の内容によっては、相続することで相続人が多額の負債を背負ってしまうこともあります。
そこで民法では、次の3つの相続の方法を定めました。相続人はその3つの中のいずれかを選択できます。
- [単純承認]
- 被相続人の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐこと。
- [相続放棄]
- 被相続人の権利や義務をいっさい受け継がないこと。
- [限定承認]
- 被相続人の債務がどれだけあるか不明な場合に、プラスの相続財産を上限として被相続人の債務を受け継ぐこと。
相続人が、相続放棄または限定承認をするには、家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。単純承認には特別な申述は必要なく、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、限定承認や相続放棄の手続きをしなければ承認したものとみなされます(民法921条2項)。

相続放棄をするとどうなるの?
相続放棄をすると、始めから相続人でなかった者とみなされます。
ただし、相続財産の管理義務は依然としてありますし、一度おこなった相続放棄は一定の場合を除き撤回することはできません。
また、相続放棄をすることで同一順位の相続人が1人もいなくなると、次順位の相続人へ相続権が移ります。つまり、相続順位一位の子全員が相続放棄すると、次順位の直系尊属(父母や祖父母)へ相続権が移り、さらに直系尊属全員が相続放棄すると次順位の兄弟姉妹へと相続権が移ります。

相続放棄はいつまでできるの?
相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければなりません。
ただし、相続人が、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続財産の状況を調査してもなお、相続を承認するか放棄するかを判断する資料が得られない場合には、申立てにより家庭裁判所はその期間を伸ばすことができます。

相続放棄の手続き
申述に必要な費用と書類を用意して、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で申述してください。
- [申述に必要な費用]
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- 申述人1人につき収入印紙800円
- 連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。)
- [申述に必要な書類]
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- 相続放棄の申述書1通
- 申述人の戸籍謄本1通
- 被相続人の除籍(戸籍)謄本、住民票の除票各1通
※事案によっては、この他に資料の提出が必要となることあります。




