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遺留分について

被相続人の財産は、生前はもちろんのことですが、死後も遺言を作成することで自由に処分することができます。しかし、自由に処分することができるといっても、相続人を無視した財産の処分がされると、残された相続人の生活が脅かされてしまいます。

相続には相続人の生活保障といった側面や、被相続人の財産には潜在的に相続人の持分が含まれているという側面があります。そこで民法では、相続財産のうち一定範囲を遺留分とし(民法1028条)、相続人に遺留分を請求する権利(遺留分減殺請求権)を与えることにしました(民法1031条)。

そこで、どの範囲が相続財産となるのか、どの相続人に遺留分があるのか、遺留分はどれくらいなのか、遺留分の請求はいつまでできるのか、などが問題となります。

遺留分の算定の方法

遺留分減殺請求権を侵害されているかを考える前に、遺留分の基礎となる相続財産を算定することが必要です。具体的には次の方法で算定します。

  1. 被相続人が相続開始時に持っていた遺贈分を含むすべての積極財産(民法1029条)。

これを基礎にして、次の2から4の中で該当するものがあれば加算します。

  1. 相続開始前の1年間に被相続人がした贈与の価額(民法1030条)。
      ※すべての贈与が対象です
  2. 1年前以前にした贈与でも、贈与者と受贈者が共に遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、その贈与した価額(民法1030条)。※当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知っている必要があります
  3. 不相当な対価をもってした有償行為(売買など)で、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってした不相当な部分(民法1039条)。※例:1000万円相当の不動産を500万円で売却した場合、その差額の500万円

1に2から4を加算し、債務があればそれを差し引いたものが遺留分の対象となる相続財産となります。

遺留分の権利者はだれ?

遺留分はすべての相続人に認められているわけではありません。兄弟姉妹を除く相続人にしか遺留分は認められていません(民法1028条)。

そもそも遺留分とは、冒頭で説明したように、相続人の生活保障や潜在的な持分を認めたものです。したがって、たとえ相続人であっても、兄弟姉妹にはそれらを認める必要性が低いだろうというのが民法1028条の趣旨なのではないかと思われます。

遺留分の割合

相続人の種類によって遺留分は変化します。

(1) 直系尊属のみが相続人の場合(配偶者も直系卑属もいない場合)
相続財産の3分の1が相続人全員の遺留分となります(民法1028条1号)。これを法定相続分で割った額が各相続人の遺留分となります。
(2) (1)以外の場合
相続財産の2分の1が相続人全員の遺留分となります(民法1028条2号)。これを法定相続分で割った額が各相続人の遺留分となります。
注意点
相続分の場合には、相続人の1人が相続放棄をすれば他の相続人の相続分が増えますが、遺留分の場合には1人の相続人が遺留分を放棄しても残りの相続人の遺留分は増えません。

遺留分の請求はいつまでできるの?

遺留分が侵害されているとして、遺留分の請求(遺留分減殺請求)はいつまでできるのかが問題となります。民法では、遺留分権利者が、相続の開始と減殺すべき贈与や遺贈があったことを知った時から1年の間に請求しないと時効消滅すると定めています(民法1042条)。

また、相続開始から10年過ぎてしまえば、相続の開始や減殺すべき贈与や遺贈があったことを知らなくても請求する権利を失ってしまいます。

遺留分は遺留分権利者から請求しなければ相手方は支払う必要はありません。遺留分を請求するのでしたら速やかに相手方に意思表示をする必要があります。

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